Java SOAP スタックの再考
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とても興味深い論文を読んだ。 Steve Loughran と Edmund Smith の "Rethinking the Java SOAP Stack" だ。 この論文は現在の Java の SOAP 実装スタック、特に JAX-RPC の問題点を XML セントリックな視点から明確に指摘している。 また、最後の部分で Alpine という新しい SOAP スタックのコンセプトを提案している。
Alpine の方はまだどんなものかわからないので、これからに期待したいが、 JAX-RPC の問題点の方はとても面白い。 雰囲気を伝えるために論文の第二章 "基本的な JAX-RPC の欠陥(The Fundamental Flaws of JAX-RPC)" の見出しを日本語で引用する。
- オブジェクト/XML のインピーダンスミスマッチ
- XML 要素の Java クラスへのバインディング
- XML の名前(Names)の Java 識別子へのマッピング
- Enumeration
- ポータブルでない型
- オブジェクトのグラフの直列化
- XML メタデータと名前空間
- メッセージ妥当性検証
- XML と直列化データの不適切な混和
- フォールト処理
- SOAP は RPC ではない
- SOAP は RMI ではない
- WSDL: 別の複雑さ
このように論文で指摘されている問題点はいくつもあるのだが、基本的には SOAP/XML Web サービスを Java 世代のプログラミング言語(Java に加えて C#, VB.NET も)にネイティブにマッピングしてしまうことへの批判となっている。 その中でも特に大きいのが XML と オブジェクトのデータモデルの違いに起因するインピーダンスミスマッチだ。 ここで指摘されている各事項は、XML をオブジェクトにマッピングしたり、 オブジェクトを XML にマッピングしたりすることが本質的に難しいことを示している。
上でも述べたとおり、この論文は XML セントリックな視点から記述されているので、 逆に RPC/RMI/Object セントリックな視点から見るとまったく許容できない内容なのかもしれない。 そういう意味で面白い文(Don Box も引用している)がある。
我々は Web サービス開発者にはただ二つの分類があると考える。 XML に満足していてそれを扱う仕事をしたいと願っている人々と、満足していないのに結局はなんだかんだいってそれを扱う人々だ。
(We believe that only two categories of web service developer exist: those who are comfortable with XML and want to work with it, and those who aren’t but end up doing so anyway.)
明らかに僕は前者だ :-)
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