2006-07-28

本3冊

しばらく時間が空いてしまいましたが、最近気になった本を3冊紹介します。

まずは Flickr の中の人、Cal Henderson の Building Scalable Web Site。

REST が設計思想からスケーラビリティを攻めているのに対し、この本は実践からいかにスケーラブルなサイトを構築するかを攻めています。 似たような話は古くは LiveJournal の中の人から、 Flickr の中の人まで、 さらに最近は mixi の中の人はてなブックマークの中の人 (ビデオ)、 ライブドアの中の人まで さまざまなテクニックや経験則を公開してくれていて、まさに高速道路建設中なわけですが、 この本はその高速道路のひとつの出口になるんじゃないでしょうか。 ぜひ日本語版もほしい一冊だと思います。

Building Scalable Web Sites
Callum Henderson Cal Henderson
0596102356

2冊目はデータ工学の研究者なら誰でも知っている Data on the Web の翻訳、「XML データベース入門」です。

訳者の国島先生僕も知り合いですが、日本でまじめに XML 関連の研究をなさっている研究者のお一人です。 国島先生の翻訳解説エントリにもあるとおり、 かなり丁寧に翻訳さている印象です。特に XML の解説の章の訳注の入れ方は半端じゃないです。

本書で扱われているトピックは半構造データ(semi-structured data)、特に XML のデータモデルとその問合せ処理についてです。 いわゆる学術書なので、自分には関係ないと思う人も多いかもしれないですが、 現在一般に扱われているデータ RSS, Atom, JSON なんてのはまさに半構造データなわけです。 そういったデータをいかに蓄積し、検索するか。 そんな問題を考えている人は手にとってみるとよいかもしれません。

ただ、一点だけ気になったのは、キーワードが日本語オンリーなところ。 英語も併記してもらえると、特に初学者には理解が進むと思いました。 もし訳語リストがあれば、公開していただけませんか>国島先生。 2006-08-01 追記: コメント欄で索引に訳語リストがあることを教えてもらいました。

XMLデータベース入門
Serge Abiteboul Dan Suciu Peter Buneman
4320121627

最後は翔泳社の Web 2.0 キーワードブックです。 これは僕もお手伝いをしました。REST の章を書いてます。 たぶん、これまで書いた REST の解説の中で一番コンパクトにまとめたものになっています。 あまり Web 技術に詳しくない人にも理解できるように、なるべく平易な記述を心がけたつもりです。

Web 2.0 という言葉はすでに陳腐化してしまった感がありますが、 ギークのそういった気分もいくらか取り込まれていて、特に切込隊長のエピローグには思わずニヤッとしました。

それにしても、献本をもらうまで著者陣を知らなかったのですが、かなり強力ですね。 個人的には自分の原稿がまつもとさん村田さんの間だった のに感動しました。

Web2.0 キーワードブック
SE 編集部
4798111260

2 件のコメント:

  1. どうもご紹介いただきありがとうございます。
    Data on the Web で気になっていたのが XML 関連の情報の古さや不正確さで、翻訳作業の最初の頃から、これは補足しないといけないな、と思っていました。もっとも、最後の段階でヤケになって入れたものもありますが(eXtensible Markup Language!? SMIL!? MathML!? えーい、そんなことも知らんのか!! といった感じ。「誰が?」というのはさておき)。
    原語については、当初、初出時に英語も添えていたのですが、監訳者との調整で、索引に日本語と英語を併記することで統一しました。分かりにくいですかねえ?

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  2. 国島先生、ありがとうございます。
    索引には気づきませんでした。これがあれば完璧です。どうもです。

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